神社のあれこれQ&A

2023.10.04

神社のあれこれQ&A

 神様に捧げたり、祭り事を行う時に必ず榊が用いられますが、そもそもなぜ“榊”が使用されるようになったのでしょうか。

一般的にツバキ科の常緑樹を指す榊は、暖かい地域に自生し、年間を通して青々とした葉を広げます。神様のおられる聖域と人間界との境界を示す「境木」、栄える木を意味する「栄木」など、“さかき”という名前の由来は諸説あり、その事からも生命力の象徴、正気を宿すものとされ、昔から神事・仏事に用いられてきました。神のよりしろとして、この木に対する特別な信仰は古くからある事が分かります。
では、榊はどの位古くから関係があるかと言うと、なんと榊は日本で最も古い歴史書とされる「古事記」に登場している樹木だそうです。古事記には、紀元前の神話の時代だった頃の日本の成り立ちから、歴史上で初の女帝とされる推古天皇時代までの出来事が書かれた書物で、この中に、天照大御神が籠ったとされる天岩屋戸(あめのいわやと)の前にたくさんの玉や鏡、布と一緒に榊が立てられたと記されています。さらに、その後に完成した「日本書紀」にも鏡、剣、玉が付けられた榊が書かれている事からも、榊は遥か昔、神話の時代から神事に使われていた事が分かります。

神事と榊がセットになった理由は他にもあり、人から人へと伝わっていった為諸説ありますが、記録として残っている点からしても、古事記に記されている事が、榊を使用するようになった起源としては有力候補でしょう。よって「遥か昔の神話の時代から神様に捧げられていた為、現在でも変わらず用いられている」というのが答えになるでしょう。